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素晴らしい人生のために/今日の応援歌
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[145]
┏┯┯┓input-alpha/mail magazine ( 10 ) =============================
┠●┼┨ 発行/2002.12.04
┠┼○┨ 素晴らしい人生のために/今日の応援歌 【第 145 号】
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●人生を生きていくとき、くじけそうになることはありませんか?
人生が素晴らしいものであるよう、素敵な言葉の応援歌を送ります。
ぜひ、お読みになった感想をお寄せ下さい。ほんの少しの言葉で結構です。

----------◆CONTENTS◆------------------------------------2002 vol.145--
[リ―・クワン・ユ―という人]ヒュ―マンコミニケ―ションセンタ― 中村豊秀
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シンガポ―ルを建国以来率いて来たのが、卓越したリ―ダ―「リ―・クワン・ユ
―」です。現在は首相の座を後進に譲り、上級相という顧問のような立場になり
ましたが、国民の絶大なる支持を得て尊敬の的になっている。

彼の政治哲学を象徴する三つのエピソ―ドをご紹介しょう。
皆さんもご記憶の方もいると思いますが、ある時、路上の車をいたづらして壊し
た米国の青年(18才)を、シンガポ―ル法に従い、ムチ打ちの刑に処したとこ
ろ、欧米の政府から人権団体まで「野蛮である。見直しを求める」と烈火のごと
く批判されました。
それに対して彼は「野蛮が嫌なら子供をシンガポ―ルに連れて来るな。もし連れ
て来るなら罪を犯せば厳しい罰があると教えてからにしろ」と堂々と反論して、
「社会を安全に秩序正しく保ちたい国は、米国のやり方をモデルにしない」また
「シンガポ―ル政府はムチ打ちを止めさせようと圧力をかける外国には決して屈
しない」と言っています。

またシンガポ―ルでは外国の新聞等を規制し国際問題になったことがありますが
報道規制を批判する欧米のマスコミに対しては、スキャンダルを書き立てたり、
政権を面白おかしくけなすマスコミを「現代西欧の好ましくない風潮」と断じ、
「ジャ―ナリストや評論家は国民に選ばれていないのに、選挙で選ばれた国民の
指導者をあざける資格はない」と真っ向から反論します。

また最近DBS銀行というシンガポ―ル版興銀がアメリカ人の頭取を迎えたこと
に端を発し、ある国会議員が「シンガポ―ル人にも優秀な人間が沢山いる。外国
人でなくシンガポ―ル人を優先して雇うべきだ」と発言したところ、リ―上級相
は「彼の意見は間違っている。わが国の銀行が排他的な態度を取り続ければ、国
際社会で生き残れない。一流の人材を迎えなければ、一流の競争力を持てない」
と演説しました。

いかがでしょうか。私は全て筋が通っていて、合理的、公平であると思います。
リ―・クワン・ユ―が日本の首相だったら、今の日本はこんなことにはならなか
ったのにと感じざるを得ません。

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[146]
┏┯┯┓input-alpha/mail magazine ( 10 ) =============================
┠●┼┨ 発行/2002.12.11
┠┼○┨ 素晴らしい人生のために/今日の応援歌 【第 146 号】
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●人生を生きていくとき、くじけそうになることはありませんか?
人生が素晴らしいものであるよう、素敵な言葉の応援歌を送ります。
ぜひ、お読みになった感想をお寄せ下さい。ほんの少しの言葉で結構です。

----------◆CONTENTS◆------------------------------------2002 vol.146--
[100%は有り得ない] ヒュ―マンコミニケ―ションセンタ― 中村豊秀
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オペレ―ションズ・リサ―チという言葉がある。略してORともいわれるが、こ
れはもともと第二次世界大戦の時、欧米が作戦計画として考えだしたものだ。
当時、日本軍が形勢不利になって武器も兵力もなくなってきた時、最後の手段と
して、十分に訓練を受けていない若者を戦闘機に乗せて戦闘機もろとも敵に体当
たりさせた。
いわゆる神風特攻隊だが、これは出撃させる方も辛いが、体当たりされる方も、
精神的なショックを受ける。実際に神経症になったアメリカ兵も少なくなかった
ようだ。それを受けて、アメリカはすぐに神経症にかかった兵士を病室に移し、
恐怖心からくる神経症の原因や治療法について、膨大なデ―タを出して、そこか
ら学問へと発展させていったという。

このようにORによって医療や学問、軍事戦略などが発展してきたのだ。
当時のあるデ―タによると日本の特攻攻撃は477回あって、その内敵に当たっ
たのは36回だったそうだ。それをもとに、どうすれば避けられたかという作戦
を研究するわけだが、例えば大きな戦艦や航空母艦はジグザクに動きながらにげ
てもいいが、小さな船はジグザグに進むと、逆に船から攻撃する時の命中率が下
がるから、まっすぐ逃げた方がいいらしい。このようなことを、数学的なデ―タ
をもとに導き出すのがORなのだ。

先般、旅客機の操縦室で機長が殺害されたハイジャック事件があったが、このよ
うな事件が起きた時、日本では「どんなにお金をかけても、絶対に同じ事件が起
きないようにして欲しい」という意見が多い。然し「絶対に」ということは誰も
約束できないし、100%に近づけるためには膨大なコストがかかってしまう。
このような場合欧米ではORを用いて確率で考える。
今までどの位の人がその場所を利用して、その構造が原因となった犯罪はどの位
あったのか、何人がどんな行動をとったか、という細かいリサ―チをして、例え
ば犯罪発生の可能性が百万分の一ならば、殆ど可能性がないと考えて現状維持に
するとか、逆に可能性が百分の一ならば、警備を厳重にするというように、確率
によつて警備の度合いを変えていく。

然し日本では、ORが習慣化されていない。原子力発電所の問題についても、絶
対に事故が起きないようにするのは無理でも、事故を防ぐ為に、どこまで安全対
策をとるかということを考えなければならない。
アメリカにも原発はあるが、アメリカでは、ORで事故の確率を出して公開して
いる。原発が我々の生活に欠かせなくなつている以上、確率が低いことを確認し
た上で、この程度なら仕方ないと目をつぶっていくことも必要だと思う。

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[147]
┏┯┯┓input-alpha/mail magazine ( 10 ) =============================
┠●┼┨ 発行/2002.12.18
┠┼○┨ 素晴らしい人生のために/今日の応援歌 【第 147 号】
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●人生を生きていくとき、くじけそうになることはありませんか?
人生が素晴らしいものであるよう、素敵な言葉の応援歌を送ります。
ぜひ、お読みになった感想をお寄せ下さい。ほんの少しの言葉で結構です。

----------◆CONTENTS◆------------------------------------2002 vol.147--
テレビ寺子屋 「楽しい海外旅行の秘訣」 数学者ピ―タ―・フランクル氏
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先日旧ユ―ゴのサラエボに行ってきました。コソボの紛争の後です。人間は悪い
ことがあっても、そのあとは又普通に生活をしていこうとするものです。
毎日のTVや報道が、どこが空襲でやられたとか、何人死んだとか暗いニュ―ス
ばかり流れているので、何か楽しいものにあこがれているので、慰問の意味で大
道芸を披露したらとても喜んでくれた。
神戸の震災のあと、やはり避難所で皆さんに喜んでもらった。

今までに50か国を回っている。今日は安全で楽しいピ―タ―流海外旅行術をお
話ししましょう。

どうも日本人は海外旅行というと、治安が悪くて荷物を盗られるとか、危険だと
かと敬遠する傾向がありますが、決してそんなに怖い所ばかりではありません。

1.先ず第一に十分に準備することです。運動会とか何かある時には準備するわ
りには、海外旅行の時には、ツア―の旅行社がやってくれるだろうと思って、余
り準備をしない人が多いようですが、これは間違いです。
実は海外旅行は準備することから始まるのです。少なくともガイドブックを2,
3冊買って、詳しく読んで、十分に予備知識を身に付けて下さい。その方が現地
にいくまでの想像力をかき立てられて、楽しくなります。人間はどうしても自分
が、知ってるものに会えるというのは嬉しいものなのです。
又行ってから現物を見た時に、思ってたより大きいとか、すばらしいとか一段と
楽しさが増します。歴史的背景も頭に入ってたら、違う喜びも見いだせます。

2.世界的なチェ―ンになってるような高級ホテルには泊まらないことをお勧め
します。なぜかというと一泊5万、10万とかしますが、中身はほとんど万国共
通です。日本もアメリカでもフランスでも殆ど同じです。フランス料理、日本料
理、中国料理等の店が必ずあります。第一高いです。そんなホテルの経験は日本
でも沢山有りますから、一回経験すればもうそれで十分です。それに余り立派な
部屋に入って、一服したらもうゆっくりして、外へでるのが億劫になって、折角
外国に来た甲斐がありません。できるだけ町に飛び出して、地元の人と交流した
り、見物したりした方がいい。別に一番安いところに泊まることもありません。
そこそこの所にするべきです。

3.さて外へでると危ないとか心配する人がいますが、そんなことを言うのなら
最初から日本を出なければいいのです。日本にも結構悪い人が沢山います。
どんな国にでも、確かに悪い人はいますが、ごく僅かです。せいぜい5%以内で
す。あとの95%はいい人です。
その意味では、空港が一番危ない。悪い人が多いのです。初めての国にきて勝手
がわからず、うろうろしてるので、よき鴨が来たといろいろと親切に言い寄って
きます。見知らぬ人に、安いホテルがあるとか、親切そうに声を掛けてくる人に
悪い人が多いものです。ではどうしたらいいのかというと、自ら人に声を掛けて
いけばいいのです。なぜならば当然この人は優しそうだとか、この人は大丈夫だ
ろうとか、十分観察して話しかけるでしょう。かりに言葉が不完全でも、ゼスチ
ャ―なり、物を差し示しながら話せば、結構意思疎通するものです。
地元の人が遊ぶ所は大丈夫です。普通の人が食べるところは安全です。

私の経験を一つご紹介します。アフリカに初めて行った時です。ケニヤです。行
く前にケニヤの留学生から、最近治安が悪く、外国人がよく狙われると聞いたの
ですが、もう航空券も買ってたので、出かけました。飛行機の中でとても人の良
さそうな30才位のケニヤ人の男性のを見かけたので、空席があったので、隣り
の席に移って行って話しかけました。いろいろと話してるうちに、すっかり仲良
くなりました。空港に着いたら、家族がライトバンで迎えに来てくれているので
一緒に町まで行きましょうと言ってくれました。そして荷物を車に置いてお茶で
も飲もうということになりました。
一瞬大丈夫かなと、一寸心配になりましたが、断ったらあなたを信用してないと
いうことになるので、思い切って一緒に約30分ほどお茶を飲んで帰ってきたら
無事でした。町まで送ってくれて、その後家に招待されたり、伯母さんの家にも
招待されたりしてとてもよかったです。

4.荷物はできるだけ少ない方がいいという人がいますが、私の経験から言うと
反対です。なぜかというと何回か、ビディオを持ってきてたらよかったとか、あ
れも持ってきてたらよかったなと後悔したことがあったからです。大きな荷物に
なっても、移動は殆ど車ですから、余り気になりません。そしてホテルに置いて
いて、必要なものだけ持ってでかければいいのです。ついでながら旅行する時は
できるだけ、普段着で行くことです。正式の所に行く時だけ、着替えればいいわ
けで、街を歩く時はラフな服装の方がいいです。

5.買い物は控えめの方がいいです。なぜなら今日本で世界中のものが大抵買え
ます。わざわざ外国に行って買うメリットは余りありません。旅費その他の経費
から考えてみても余り安く買ったとはいえません。よほど沢山買ってきて、しか
も日本で全部売りさばけた以外は得だとは言えないでしょう。
買い物よりも現地の人に溶け込んで、実際に体験する方がもっと大事なことだと
思います。パングラディッシュに行った時、みんながバドミントンをやってたの
で、仲間に入れてもらって約2時間夢中になってプレイしました。又ベネゼェラ
にいった時は、チェスをやりました。

どうぞ皆さんも、以上のことをご参考にして楽しい海外旅行をして下さい。

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[148]
┏┯┯┓input-alpha/mail magazine ( 10 ) =============================
┠●┼┨ 発行/2002.12.25
┠┼○┨ 素晴らしい人生のために/今日の応援歌 【第 148 号】
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●人生を生きていくとき、くじけそうになることはありませんか?
人生が素晴らしいものであるよう、素敵な言葉の応援歌を送ります。
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----------◆CONTENTS◆------------------------------------2002 vol.148--
テレビ寺子屋 「アフリカのス―ダンで考えさせられたこと」 アグネスチャン氏
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異文化コミュニケ―ションの研究をしていて、色々な国に出かけて特別な出会い
をして、厳しい環境のもとに生活している人の話を聞くと、感動する場面がたく
さんある。日本に帰ってくると、これは本当なのかなあ、夢みたいだなあ、と感
ずることがよくある。世界の大半はこんな生活が出来ない状態がたくさんある。

どこに行っても、一生懸命頑張って生きているのに、私達はこれでいいのだろう
か、本当に生きているのだろうかと、反省させられることが一杯ある。教えられ
ることが多い。援助に行った筈なのにむしろ貰ってくるものの方が多い。

この夏、ユニセフ大使の2回目のミッションとしてアフリカの南ス―ダンに行っ
たが、そこで今までの考え方が変わるような体験をしました。大使になった時、
何をしたらいいのかと聞いたら、一番弱い声しか持ってない子供達の生活を伝え
て欲しいと言われた。昨年はタイに行きました。今年のテ―マは子供の兵士とい
うことだったので、それではやはり紛争をやってる所に行かなければということ
で、南ス―ダンに行ってきました。でも私は何も知らなかったのです。

ス―ダンは44年前の1945からずっと内戦が続いている。北部のアラブ系、
イスラム教徒と、南部のアフリカ人でキリスト教徒との紛争が続いている。
イギリスの植民地からは1956年に独立したのだが、その1年前から争いがは
じまった。
一度は1987年に停戦して、全国的に北部のイスラムに統一ということになっ
たのだが、やはり駄目だった。そこで幼い子供が兵士として狩り出されている。
現在でも世界で約30万人の18才以下の子供の兵士がいる。この10年間で世
界では、今までに200万人が死んでいる。その30万のうち、7万がス―ダン
の子供の兵士だ。何でこんなに多くの子供達が戦っているのか。あるいはさせら
れていて、死んでいかなければいけないのか。

南ス―ダンに行くには日本ではビザがとれない。ナイロビで反政府軍の許可を貰
って、ケニヤとス―ダンの国境から10キロ位のロッキ―チョキィヨにユニセフ
の本部と赤十字の病院がある所に行った。戦闘の一番激しい所から送られて来た
多くの怪我人がいる。片足を地雷でやられた人、撃たれて怪我をした人、逃げる
時に野獣に襲われた人。しかも途中が危険で飛行機でないと運ばれないので、限
られた数なので、日本ならまだいいのだが、アフリカでは切らなければ駄目とい
う状態だ。最初男だけかと思ったら、女の人と子供が多いのにびっくりした。顔
を撃たれた女性を見た時は、思わず息をのんだ。しかも彼女は妊娠をしていて、
この子の為に私は死にませんと言われたことが唯一の救いだった。
私はやはり戦争をしている所に来たのだと実感した。

ようやっと、南ス―ダンに入れました。
マティ―ルは飢餓がひどくて沢山の人が死んだ。でも皆さんの募金の援助のおか
げで今年は昨年の50%以上が栄養失調で済んだ。一時は1ケ月で地域の中の1
8%の人が死んだ状態だったが、いろいろの援助のおかげで、飢餓による栄養失
調が20%以内に減ったそうだ。ほかの国では20%といえば大飢饉だが、ス―
ダンでは大進歩だ。避難民も大勢いる。私達の学校を見て下さいと言われたので
見学した。学校といっても教室が一つ、小屋が一つであとは露天です。

生徒は500名いる。初めての者は全部一年生だから、大きい子や小さい子まで
まちまちだ。生徒達は先生の声に合わせて、大きな声で、3+3=6、3+4=
7、5+2=7とと叫んでいる。ああ、これは判ってないなと思い、先生に代わ
ってもらい、3+5=6と言ったとたんに、え―っ、No!、3+5=7今度は
No!,No!8だよと言う。判っていたんですね。頑張ってるなぁと思った。

学校は5年生までだ。6年生の教科書が欲しいと先生方は言う。各学年に先生は
一人だ。生徒達は2,3時間かけて通ってくる。お腹がペコペコだ。ご飯を食べ
させてあげたら、もっと沢山の子供達が学校に来ることができる。さぼる者も減
るだろう。子供の兵隊もいる。又元兵隊だった子供もいる。その内の一人のサン
ピ―ノ君に紹介された。12才だ。6才で父親が殺された。8才で入隊して11
才で撃たれて足を負傷して、除隊して、今は親戚の家から学校に通っている。

私は子供と話すのは得意なので、色々と話しかけたが、普通の子供と違う。固い
殻に閉じ籠もっていて、心を開こうとしないのです。テレビのカメラマンが写真
を撮ってくれるから一緒にと誘ったけれど「どうせTVで撮ってみんなと笑うの
だろう。馬鹿にするに違いない」と言うので、「そんなことはない。信じて欲し
い」と言ってるうちに涙が出てきた。その日は諦めて帰った。

翌日大雨が降ったので、テントで雨宿りしていた所へ、彼が杖をついてビショヌ
レになりながらやってきた。「どうして兵隊になったの」と聞くと「母親や兄弟
達や家畜を守る為には軍隊に入るしかないのだ」「人を殺したの」と聞くと「こ
うやって今生きているのが、人を殺してきた証拠だ」「何人位殺したの」
「そんなことはわかるわけはない。マシンガンでダダッとやるから無理だ。そん
なことはみんな知ってる。なぜそんな当たり前のことを聞くのだ」と言う。

私ははっとして、思わず「本当は子供がそんな恐ろしいことをするのは、少しも
当たり前のことじゃないのよ」と言いたかったのですが、それでは彼を全面的に
否定してしまうことになるので、止めました。「今あなたにとって、人生のなか
で何が一番の宝ですか」と聞いたら「僕は軍隊で地獄を沢山見てきているから、
こうして生きているのが宝だよ」と言う。

生きてるのが宝だというのは、何という深刻な言葉だろう。私の長男と一緒の年
で、次男と同じ8才の時から軍隊で苦労してきた目の前の子供を見ている内に、
私はたまらなくなって、思わず彼を力一杯ぐっと抱き締めて、濡れた顔を拭いて
あげた。そしたら彼は照れてしまって顔をそむけようとするので、「何を照れて
るの。私はあなたのお母さんと同じよ。12才と8才の子供がいるのよ」と言う
と、にこっと笑って顔を拭くのを許してくれました。そして帰る時に急に私に言
いました。「僕お母さんに会いたいなあ。親戚はこんな足の不自由な僕の気持ち
なんか判ってくれないんだ。お母さんだけが僕の気持ちを判ってくれるんだ」

その時初めて彼の中に12才の子供の姿を見た気持ちがしました。余りにも可愛
かったので、又抱き締めました。その時彼も一寸顔を私の肩に埋めましたが、す
っとあげて出て行きました。サンビ―ノだけだったら、多分私はここまで悲しま
なかったと思う。こんな小さな子が「戦争で戦うのが普通なんだ」ということに
とても悲しかったのです。
避難民の所に行っても、いろんな所に行っても大きな子供はいません。男の子供
は、さらわれたり、自分から軍隊にいくのです。勿論男はいません。若い男もい
ません。年老いたおばあさんと、小さな子供だけです。

一人のおばあさんと話すことができた。彼女は全ての子供が殺されて、3ケ月
前に最後の子も殺されて、小さな子供をだっこしてました。そして私に歌うので
す。「ああああ・・・・」と甲高い声で歌うのです。
「私の白い歯は笑う為にあった筈なのに・・今はボロボロになってしまった・・
神様どうして私を女として産んだの・・私にたくさん子供を与えたのに・・
どうして目の前で殺させるの・・神様どうしてこんなに苦労させるの・・
どうしてこんな幼い子をそだてさせるの・・」

幾つと聞いたら、47ですということでした。どう見ても60才以上に見えまし
た。47才の苦労がみんな皺になってしみついているようでした。44年間続い
ている戦争で、平和を覚えている人はいません。その彼女に聞いても覚えていま
せん。生まれた時から死ぬまで戦争、戦争という人生。

ス―ダンを離れる時一つだけ自分に約束したことがある。もう弱気は吐けないと
いうことだ。夫と子供が3人いて、掃除、洗濯、料理、子育て、仕事で大変だ。
もうママ疲れた。眠たい。そう思うことがあるが、もう言えないね。
小さい子供を連れて、逃げ回り、目の前で子供を殺され、娘が犯される、そんな
生活をしている人がたくさんいる。そんな生活に比らべれば私の生活は天国だ。
何が疲れるだ、何がストレスだ。こんなことで文句を言ったらバチが当たる。生
きてることを大事にして、感謝をして、周りの一つ一つの命を大事にしていきた
い。ス―ダンで見て、貰ってきたエネルギ―を無駄にしないで、平和な道をみん
なで考えていきたいと思います。

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IA magazine 素晴らしい人生のために 毎週水曜日発行(週刊誌) No.148

責任■小林 高一 ko-ko@bb.futaba.ne.jp
執筆■ヒュ―マンコミニケ―ションセンタ― 中村豊秀 LDJ04070@nifty.ne.jp
配信■まぐまぐ 0000026706 http://www.mag2.com/

Copyright(C) 2000-2002 Toyohide Nakamura All rights reserved. 無断転載禁
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